
「お正月に飾った門松やしめ縄、どうすればいいんだろう?」
「近所の神社で火を焚いているけど、勝手に参加してもいいのかな?」
1月中旬になると、全国各地で見かけるようになる『どんど焼き』。実はこれ、単なる火祭りではなく、1年の健康と幸せを願うとても大切な行事なんです。
この記事では、どんど焼きの「意味」や「地域ごとの呼び方の違い」はもちろん、当日慌てないための「服装・持ち物」、さらに「行けなかった時の処分方法」まで、初心者の方にもわかりやすく丁寧に解説します。
この記事を読めば、伝統行事を楽しみながら、清々しい気持ちで1年をスタートさせることができますよ。
どんど焼きとは?意味・由来や目的をわかりやすく解説
お正月の締めくくりとして行われる「どんど焼き」ですが、なぜわざわざ大きな火を焚くのでしょうか?まずはその深い意味や、知っておきたい由来について詳しく紐解いていきましょう。
行事の目的:無病息災と五穀豊穣を願う「清めの火」
どんど焼きは、お正月に私たちの家々に幸福を届けるために来てくださった「年神(としがみ)様」を、お正月飾りを燃やした煙とともにお見送りする、伝統的な「神事(かみごと)」です。古くから、火には「穢れ(けがれ)」を清める強い力があると信じられてきました。
- 無病息災(むびょうそくさい): どんど焼きのパチパチという火の音を聞き、立ち上る温かな火に当たると、体の中から悪いものが追い出され、1年を健康に過ごせると言われています。
- 五穀豊穣(ごこくほうじょう): 燃え上がった火が天高く届くことで、その年の田畑の実りが豊かになるよう神様に祈りを届けます。
- 厄払い: 古くなったお守りや、1年間家族を見守ってくれた縁起物を燃やすことで、これまでの不運を払い、清らかな心で新しいスタートを切るという意味も込められています。
ただ火を眺めるだけでなく、「今年も家族全員が笑顔で過ごせますように」と心の中で願いながら見守るのが、古くから伝わる大切な作法です。
いつ、どこで行う?「小正月(こしょうがつ)」を彩る地域の絆
この行事は、一般的に**1月15日の「小正月」**を中心に行われます。小正月とは、大正月(元旦)の忙しさがひと段落し、家庭的な行事を楽しむ期間のこと。現在では、多くの人が参加しやすいように、15日に近い土曜日や日曜日、あるいは成人の日の祝日に開催する地域が増えています。
開催場所は、その地域の守り神である「神社の境内」が最も一般的ですが、都会では公園の広場、田園地帯では刈り取りが終わった広い「田んぼ」や「河川敷」などが会場になります。
地域の大人たちが協力して、朝から数メートルもの高さがある「竹のやぐら」を組み上げる光景は圧巻です。近隣の自治会や子供会が主催することも多く、地域住民が交流する大切な場としての役割も担っています。
【子供向け】「年神様を空へ送る、ありがとうのパーティーだよ」

小さなお子さんには、少し難しい言葉よりも、情緒に訴えかけるような伝え方をしてあげると理解が深まります。
「お正月の間、おうちの玄関や神棚で見守ってくれていた神様がね、そろそろ空の上にある『神様の国』へ帰る時間なんだよ。でも、歩いて帰るのは大変でしょ?だから、みんなでお正月飾りを燃やして、素敵な煙の道を作ってあげるんだ。神様はその煙の雲に乗って、ふわふわと空へ帰っていくんだよ」
「最後に『守ってくれてありがとう!』ってみんなでご挨拶をする、お見送りパーティーなんだね」と伝えてみてください。高く舞い上がる煙を見上げながら、感謝の気持ちを持つことで、お子さんの心にも日本の美しい伝統が自然と根付いていくはずです。
【地域別】どんど焼きの呼び方一覧|なぜ名前が違うの?
実は「どんど焼き」という呼び方は、地域によって驚くほど違います。
地域別・呼び方マップ
| 地域 | 主な呼び方 | 特徴 |
| 北海道・東北・関東 | どんど焼き、どんと祭 | 「尊(たふと)い」や、火が燃える音から。 |
| 中部・近畿・北陸 | 左義長(さぎちょう) | 平安時代の宮中行事がルーツ。 |
| 中国・四国・九州 | とんど、鬼火焚き | 九州では「鬼の目を焼く」という意味も。 |
| 沖縄 | ほとんど行われない | 旧正月を祝う文化が強いため。 |

【番外編】日本三大火祭り?有名などんど焼き
長野県の「野沢温泉の道祖神祭り」や、神奈川県の「大磯の左義長」などは、国の重要無形民俗文化財にも指定されている非常に大規模なものです。
正月飾り・お守りは何でも燃やしていい?持ち込みマナー
「何でも燃やしていい」わけではありません。神聖な火で神様をお送りするためには、守るべき大切なルールがあります。持っていく前に、中身をしっかり確認しましょう。
〇 燃やしていいもの(神様に関係するもの)
基本的には「年神様をお迎えするために使ったもの」や「お守り」が対象です。
- 門松、しめ飾り、輪飾り: 年神様が迷わず家に来るための目印となったものです。お役目を終えた感謝を込めて火に入れましょう。
- 書き初め: どんど焼きの火の勢いで、書いた紙が高く舞い上がれば上がるほど「字が上手になる」「願いが叶う」という素敵な言い伝えがあります。
- 古いお守り、お札: 昨年1年間、私たちを守ってくださった感謝を込めてお返しします。神社やお寺で受けたものは、この機会にまとめて供養しましょう。
- 縁起物(破魔矢、熊手など): 魔を払う破魔矢や、福をかき集める熊手も対象です。大きなものは、火に入れやすいサイズに整理しておくと親切です。
× 入れてはいけないもの(神事の妨げになるもの)
「ゴミを燃やす場」ではないため、環境や安全に配慮して以下のものは取り除きましょう。
- プラスチック・ビニール類: 飾りに付いている「ダイダイ(橙)」や「エビ」、扇などのプラスチック製パーツは必ず外してください。燃やすと有害な煙が出てしまい、神聖な空気を汚してしまいます。
- 針金・金属・接着剤: しめ縄を固定している針金や、門松を縛る麻紐以外のワイヤー、プラスチックの留め具なども取り除きます。これらは燃え残って灰に混じると、後の片付けや土壌に悪影響を与えてしまいます。
- ぬいぐるみ・人形: 思い入れのある人形やぬいぐるみは、一般的なお正月飾りとは扱いが異なります。これらは「人形供養」として、別の機会に神社やお寺に相談するのが正しいマナーです。
- 年賀状: 近況を知らせるお手紙であり、神事に関わるものではありません。また、住所や氏名などの個人情報が詰まっているため、セキュリティの観点からも自宅で適切に処分するのが安心です。
当日慌てないための準備!おすすめの服装と持ち物
現地に行ってから「失敗した!」と思わないための、経験者ならではのリアルなアドバイスです。
服装の注意点:火の粉対策は必須!
- ダウンジャケットは要注意: ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は、火の粉が少し当たっただけで簡単に溶けて穴が空いてしまいます。最悪の場合、溶けた素材が肌に張り付いて火傷をする危険もあるため、綿(コットン)やウールなどの燃えにくい天然素材のアウターを選びましょう。
- 匂いがついてもいい服で: 想像以上に煙が舞い、衣類には「焚き火」の匂いがガッツリと染み付きます。翌日まで匂いが残ることもあるため、洗える服や、汚れても構わないスタイルがベストです。
- 髪の毛と足元の保護: 髪の毛は火の粉を吸着しやすいため、帽子をかぶるか、長い髪はしっかりまとめておくと安心です。また、会場は灰で汚れやすいため、サンダルではなくスニーカーや長靴を履いていきましょう。
あると便利な持ち物
- 軍手(滑り止めなし): お団子を焼く際、長い竹の棒が想像以上に熱くなります。素手では持てなくなることもあるので、綿100%の軍手があると非常に便利です。
- 持ち帰り用の袋と新聞紙: 焼いたお餅をくるむ新聞紙や、温かいまま持ち帰るためのアルミホイル、そして会場の灰(厄除けになるとされる地域があります)を持ち帰るための小さな袋があると重宝します。
- ウェットティッシュ: 手や顔がススで黒くなりやすいため、特にお子様連れの場合は必須アイテムです。
- ゴミ袋: 会場にゴミ箱がないことも多いため、自分たちで出したゴミや、正月飾りを包んでいた袋を持ち帰るために用意しましょう。
どんど焼きの楽しみ方|お団子・お餅を焼く意味
会場では、長い竹の先に刺したお団子を火で炙る光景が見られます。これは単なるレジャーではなく、大切な「祈り」の形です。

- なぜ食べるの?: どんど焼きの火は、神様をお送りするための神聖な火です。その火で焼いたものを体に取り入れることで、神様のパワーを授かり、その1年を病気せず元気に過ごせると信じられてきました。
- お団子の色と形の秘密: 「赤・白・緑」の三色団子は、厳しい冬が終わり、芽吹き(緑)、雪(白)、花(赤)が訪れる春を象徴しています。また、地域によっては繭(まゆ)の形に丸めた「繭玉(まゆだま)」を作り、その年の農作物の豊作を願うこともあります。
- 安全に美味しく焼くコツ: 火が勢いよく燃えている最中に近づくと非常に危険です。火柱が少し落ち着き、赤く光る「熾火(おきび)」の状態になってから、遠火でじっくり温めるのが、外はカリッと中はモチッと焼く秘訣です。
もし「どんど焼き」に行けなかったら?後日の処分方法
仕事や体調不良で当日行けなかったとしても、バチが当たることはありません。ゴミ袋にポイと捨てる前に、感謝を伝える方法を確認しましょう。
- 神社の「古神札納所(こしんふだのうしょ)」へ: ほとんどの神社には、お正月飾りやお守りを常時受け付けてくれる専用の回収箱があります。初詣の時期を過ぎても設置されていることが多いので、後日改めて参拝がてら持参しましょう。
- 専門のお焚き上げ郵送サービス: 最近では、郵送でお焚き上げを代行してくれるサービスも一般的になっています。
- 自宅で心を込めて処分する手順:
- 準備: 清潔な白い紙(新聞紙でも可)を広げ、その上に正月飾りを置きます。
- お清め: 「左・右・左」の順番で、パラパラとお塩を振りかけます。これは古くから伝わるお清めの作法です。
- 梱包: 感謝の気持ちを込めながら、他のゴミ(生ゴミなど)とは袋を分けて丁寧に包みます。
- 出す時: 自治体の分別ルールに従って出しますが、この時も「今までありがとうございました」という感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。

まとめとよくある質問(FAQ)
最後に、初めて参加する方が迷いやすいポイントを深掘りして解説します。
- Q1:雨や雪が降ったら中止になる?
- 基本的には少雨決行ですが、強風の場合は火災の危険があるため中止・延期になります。最近は自治体のホームページや地域のSNSで当日の朝に告知されることが多いので、家を出る前にチェックしましょう。
- Q2:参加費や「御花料」の相場は?
- 公園などのイベントでは無料が多いですが、お団子の準備代として「協力金(100円〜500円程度)」を募っていることがあります。神社で行う場合は、お賽銭箱に感謝の気持ちを納めるのがスマートなマナーです。
- Q3:書初めを燃やす時のコツは?
- 昔から「書初めが炎の熱で高く舞い上がれば上がるほど、字が上達し、願いが叶う」と言い伝えられています。火が安定しているタイミングを見計らって、お子様の自信作を空へ送ってあげてください。
- Q4:都会で近くに開催場所がない…
- 都市部では消防の規制で行われない場所も増えています。隣の市区町村や、少し大きめの神社の公式サイトを確認してみると、意外な「穴場スポット」が見つかるかもしれません。
どんど焼きは、古くから日本人に親しまれてきた素敵な行事です。マナーを守って参加し、素晴らしい1年をスタートさせてくださいね!
免責事項
本記事は情報の正確性を期していますが、どんど焼きの開催日程や持ち込みルールの詳細は地域や神社によって異なります。実際に参加される際は、お住まいの地域の自治体や神社の公式サイトを必ずご確認ください。

